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物語の舞台のひとつ:中国山西省の鉱産物と歴史

物語の舞台のひとつ:中国山西省の鉱産物と歴史
当社が取り扱っている天然資源の産地は、中国やベトナムなどのアジア圏が中心です。
無機質に捉えられがちな鉱産物ですが、携わる人と人とが繋がり、互いの文化に触れ、国を越え、様々な物語が紡がれてきました。
今回はそんな物語の舞台のひとつである山西省についてご紹介いたします。
当社は現地の生カオリン焼成カオリンボーキサイトを通じて、現地との民間交流を行っております。ぜひ関心をお寄せいただき、ともに様々な観点から参画していただける方を歓迎いたします。

 

山西省で見られる植物の化石
山西省で見られる植物の化石

 

■中国最大の産炭地

山西省は中国最大の産炭地で、「石炭の郷」と呼ばれています。石炭の埋蔵量が中国国内の約五分の一とも言われ、産出量は四分の一を占めています。
山西省のほとんどの地区に炭鉱があり、石炭の鉱床に伴うカオリンが大量に産出されるほか、アルミニウムの原料となるボーキサイトの採掘もこの地域の重要な産業となっています。中国のボーキサイト産出量は世界でもトップクラスで、山西省には中国国内の三分の一の埋蔵量があると言われています。

生カオリンの成分比率表

焼成カオリン成分比率表

ボーキサイト成分比率表

 

■中国史のスタート地点

山西省は中国北部、黄河の中流域、黄土高原の東に位置しています。
岩肌がむき出しになった断崖絶壁の大峡谷で有名な太行山脈の西側にあることから「山西省」と呼ばれ、春秋戦国時代には晋の領地に属していたため「晋」の別称を持ちます。
中国の中でも最も歴史のある地域のひとつですので、たくさんの史跡が残されています。
山西省の主要都市のひとつである大同市の西方20kmには、東西1kmにわたって仏像の彫られた「雲崗石窟」が存在し、現存する石窟数は252窟、大小仏像は5万体を越え、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。

 

雲崗石窟

 

 

断崖絶壁に懸かる「懸空寺」は仏教、道教と儒教とを一体化した独特な寺院で、切り立った岩壁に張り出すように建っています。唐代にこの地を訪れた李白が岩壁に“壮観”の二字を書き記したという逸話も残るほど、その建築技術と発想は見る者を驚かせます。

 

懸空寺

 

 

■奥深い食文化

山西省は麺料理発祥の地ともされています。麺は長い歴史の中で世界中に広まり、様々な形で各地の食文化を支えていますが、その始まりは山西省の人々が過酷な環境の中で生きていくために編み出されたものでした。

黄土高原と呼ばれる標高1,000m前後の地帯に属する山西省の大地は、黄色く痩せ、肥料も種も土も残らないと言われるほど荒涼としていますが、穀粉を練った生地や様々な技術と道具を駆使して作られる麵線など、麺、餅(ビン)類の種類は大変豊富です。

その中でも、最も有名なのは「刀削麺」で、山西省発祥のブランドと言っても過言ではありません。この麺は非常に繊細な製法で作られており、専用の包丁を用いて生地を短冊状に素早く削っていくのですが、その技術を習得するためには料理人は特別な訓練を受ける必要があります。

 

刀削麺

 

 

食文化としてもうひとつご紹介したいのが白酒です。白酒は高粱(コーリャン)を主原料とする蒸留酒で、特に山西省汾陽県杏花村発祥の「汾酒」は中国の数ある酒の中で最も古い銘柄と言われている名酒です。

杏花村は古くから名醸地として知られ、杜牧の詩で詠まれた〈借問酒家何処有 牧童遥指杏花村〉(現代語訳:酒屋はどこにあるかと尋ねると、牛飼いの少年の指さすかなたに白いあんずの花咲く村が見えた。)はこの地であると言う説があります。

酒家揃いの弊社社員にとっても、大いなる楽しみのひとつとなっております。

 

汾酒